暮らしの保健室

最も古い活動は、「ゆるりサロン」。15~16年前にボランティアを募り食事を作ってもらい参加者に提供する形でスタートしました。コロナ禍で開催を中止している時期もありましたが、再開を心待ちにされ、参加者を2班に分けるなど、感染対策を講じて開催を続けています。現在では食事の提供をしていないが、昼食を持参したり、お弁当を注文して食べることもできます。参加者の年代は60歳代から最高齢は97歳までとバラエティに富んでいます。

そのほかに、参加型では、セルフお灸、音楽療法、短歌教室、パッチワークなどあまり他では参加できない活動もあります。コロナ禍で音楽療法は中止になってしまったが、現在は再開しています。また、「これからライフデザイン塾」は「認知症」「終活」など参加者の年代に合わせてテーマ設定がされている。少し先の生活を想起させる内容を少人数で対話しながら深めていくのが特色です。

市の委託を受けて電話相談業務を実施
宮崎市の事業委託で電話相談業務を実施しています。「がんが発見された」という相談を受けて今後について一緒に考えたり、「家での介護が難しくなってきた」という相談に在宅医療、訪問看護の制度について詳しく説明する、といった相談対応をしています。とある女性は、がんが見つかって電話をかけてきた際に「自分の趣味ができなくなる、治療は何もしたくない」と否定的だったものの、症状や痛みが気になって電話されました。こうした相談には何か方針を提示するというよりも、その人が知りたいこと、今後の予測について様子を見ながら情報を提供する。結果的に、この女性は病院の紹介を受け、自身で医師と話し合った上で治療を受けることを決意したそうだ。

このように、相談については生活の中で医療や介護について悩みが出てきたときに、相談者自身が自分自身で選択していけるようなサポートを心がけているという。運営母体であるホームホスピス宮崎が現場で活動している中で蓄積されてきた知見が活かされる場面でもある。

様々な機関とのつながりが暮らしの保健室を作る
暮らしの保健室の活動は、1か所には留まらない。地域のお祭りなどでも、ゆるりサロンとしてテントを出し、出前「暮らしの保健室」を実施しています。アロママッサージ、子どもの工作教室などを実施して、暮らしの保健室の存在を知ってもらうのが目的です。既に長く活動しているので、社会福祉協議会や地域包括支援センターなどから紹介を受けて暮らしの保健室を訪れる人も多いです。いわゆる要支援やデイサービス等の対象にはまだならないが、1人暮らしを続けるのが少し大変になってきたり、家に引きこもりがちな人に「あそこに行ってみると良いよ」といった声かけがきっかけで訪れるようになり、元気を回復した人も少なくありません。また、個人病院からも医療面以外で、ちょっと気がかりな患者さんを紹介されることもある。こうした関係機関とのつながりが暮らしの保健室を作っています。

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