ごあいさつ

地域と共に歩む
ホームホスピスに

ホスピスの原点は、死に直面している患者さんやその家族に対する温かいもてなしの心です。日本ではホスピスというと最期を過ごす病棟や建物というイメージがありますが、本来の意味は“気遣う” “もてなす”という考え方であり哲学ともいえます。そんな《ホスピス》の考え方が宮崎の地に広く浸透し、誰もが住み慣れた地域で最期まで安心して暮らせるまちづくりを目指しています。

人が病気や障碍、老いによって、誰かのお世話にならないと生活が維持できなくなった時、身体的、社会的、精神的な苦痛が増してきます。それらを緩和し、そこに居ることを認められ、自らの存在を肯定的に受け止めることができたときに初めて、自らのうちにある生きようとする力(スピリュアリティ)が発揮され、穏やかな人生の最終段階を迎えられるのではないかと考えています。

私たちは、死の瞬間まで、その時間がたとえわずかであっても、家族や馴染みの人に囲まれ家族や友人あるいは自分と和解を遂げていく、この時間こそかけがえのないものです。その時間を過ごす場として家《ホーム》こそが最もふさわしい。《ホーム》とは、単に家を意味するものではなく、その人にとって安らぎを感じることができるところで、自宅であったり、施設であったりするかもしれません。2004年に開設した「ホームホスピスかあさんの家」は、本人の生きようとする力を尊重し、ご家族の覚悟を支援していくために、在宅医療を支える様々な職種と連携して、援助する《人と人》との関係を作っていきたいと願っています。

かあさんの家の実践から20年、この間急激に増えてきたのが医療的なケアを必要とする難病や重度の心身障害を持って生まれてくる子供たちです。そんな子供たちとご家族を何とか支援できないだろうか、目の前の必要なことを、できないのでなくどうやったらできるかを考えて、2021年に在宅総合支援「HALEたちばな」を開設しました。高齢者福祉から小児在宅医療へ、0歳から100歳までの命に寄り添っていくことになりました。

HALEとは、ハワイ語で大きな家という意味があります。様々な障害や病を持つ人たちが、地域という大きな屋根の下で、共に生きていける社会を目指していけたらと願っています。

理事長   市原 美穂

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